主な呼吸器疾患

一般内科で遭遇する呼吸器疾患には、次のようなものがあります。

かぜ症候群

一般的に上気道炎(鼻・咽頭・喉頭)の急性炎症を呈する疾患の総称を「かぜ症候群」と云います。最近ではその症状が上気道だけでなく下気道(気管・気管支・肺)にまで広がっていることが多く、多病因による気道の炎症症状を総称する意味で「かぜ」または「かぜ症候群」という病名が使われています。つまり「かぜ」は独立した病気ではなく鼻から気管支にいたる気道粘膜の感染性あるいは非感染性の急性炎症のいくつかの組み合わせの総称で、厳密にいうと「急性鼻炎」「急性咽頭炎」などの病名となるがほとんど同時にそれらの症状があるので「かぜ症候群」と呼んでいます。

肺炎

肺のなかは一般的に無菌状態ですが、種々の原因で細菌が進入し肺内に炎症を生じる病気です。咳・黄色痰・高熱等の症状が出現しますが、高齢者では症状があまり出ないこともあります。肺炎は種々の起因微生物(細菌・ウィルス・カビ)の他、アレルギーが関与した好酸球性肺炎などもあります。

慢性気管支炎

咳と痰が3ケ月以上続くことが2年間に亘って認められる場合、慢性気管支炎と診断されます。原因としては、気管支拡張症・長期の喫煙・副鼻腔気管支症候群などがあります。

気管支拡張症

気管支が非可逆的な拡張をきたした病態です。気管支が拡張すると、気管支の浄化作用が低下し、痰がたまって細菌などが繁殖しやすく気管支炎や肺炎に罹りやすくなります。また、拡張した気管支には血管が増え、血痰や喀血も出現することがあります。

肺結核

結核菌による肺感染症の一つです。初期症状は咳・痰と微熱です。体重減少や全身倦怠感も認められます。近年高齢者や免疫不全患者を中心として結核新規発症患者が漸次増加しています。

肺癌

肺癌は初期は無症状のことが多く、症状出現時には進行しており手遅れのことが多い病気です。そのため初期検査による早期発見が大切です。血痰や胸痛は肺癌の可能性を強く疑わせる症状の一つであるため血痰や胸痛が認められた場合は、医療機関への受診が必要です。肺癌の予防のためには禁煙が重要です。

気管支喘息

気管支が発作的に狭窄することによって呼吸困難が出現します。アレルギーで起こることも多く、アレルギーに対する治療を必要とすることもあります。

肺気腫

長期の喫煙が原因となる病気で、肺が過膨張となる病気です。自覚としては体動時の息切れや息苦しさを感じてきます。進行すると不可逆性です。禁煙が予防の上で最も大切であり、治療の面でも重要です。

間質性肺炎(別名、肺線維症)

正常な肺は、目の細かいスポンジのような構造をしており、息を吸えば膨らみ、息を吐けば縮むという動きをスムースに行っています。何らかの原因で、この柔らかな肺に線維化が起こり、肺が固く縮んでゆき、ついには呼吸が出来なくなり死に至ることもある病気です。

睡眠時無呼吸症候群

夜、睡眠中に呼吸がとまり、それによって昼間に呼吸困難や眠気・意識障害を来たす病気です。また、心疾患者に生じれば、睡眠中に不整脈や狭心症が生じ、場合によっては突然死の原因になることもあります。一般的には太った人に多く又、イビキを伴う人も多いとされていますが、原因は種々であり専門的な検査が必要です。

胸膜中皮腫

胸腔を覆っている胸膜中皮細胞由来の腫瘍です。びまん性で予後の悪い悪性中皮腫と、限局性で予後の良い良性中皮腫に分けられます。悪性中皮腫は塵肺、特に石綿(アスベスト)を長年に亘り吸い込むような職業の人に多いようです。特に40~70才の男性に多いようです。最も頻度の高いのは、胸部痛と呼吸困難で、上腹部や肩に放散します。

症状から考えられる主な呼吸器疾患は次の通りです

咳・痰

気管支炎・気管支喘息・肺炎・肺結核・肺気腫・間質性肺炎・肺癌・気管支腫瘍・喉頭腫瘍などの疾患が考えれます。但し、普通の風邪でも認められます。

息切れ

階段歩行時の息切れは、気管支喘息・肺気腫・間質性肺炎の初期症状の場合があります。呼吸器疾患以外では、貧血や心臓等の異常が考えられます。

喘鳴

喘鳴は気管支喘息で最も典型的な症状です。その他、気管支腫瘍・肺癌・肺気腫や心不全でも出現する場合があります。

風邪と間違えやすい病気

若者に多い肺炎(マイコプラズマ肺炎)

肺炎は、細菌等の病原体が原因となって起こります。
肺炎のなかで、細菌とウィルスの中間的な特徴をもつマイコプラズマという微生物が原因で起きる肺炎をマイコプラズマ肺炎といいます。一般の細菌による肺炎が高齢者に多いのに対し、マイコプラズマ肺炎は、乳児期から30才代位までの若い人に多いのが特徴です。最初は風邪のような症状ですが,そのうちに高熱(38℃以上)、非常に頑固な咳で、夜、眠れなくなるほどです。

高齢者の肺炎

お年寄りの場合は、肺炎になっても、熱はあまり上がらず、激しい咳や痰も少ないなど、症状が目立たないことが多いため、病気の発見が遅れがちです。
高齢者の肺炎の症状は「元気がない、食欲がない、脱水症状、意識障害」などが特徴的です。年をとると、唾液の分泌が減ったり、食べかすが残りやすいなど、口の中の浄化が十分に行えなくなりがちのため、口の中に生息する「肺炎球菌・大腸菌・緑膿菌」や「嫌気性菌」などが増加傾向にあります。お年寄りの場合、これらの細菌が食べ物などに混じり、誤って肺に入り込んで起こる「誤嚥性肺炎」が多くなります。
口の中を清潔に保つ、姿勢に気をつける、誤飲しないような調理を工夫するなどで、予防に努めましょう。

関連項目