2023年3月22日(水)

椅子から立つ時に右膝が痛む

先日、診療をしていたらこのような60歳代の男性の患者様がいらっしゃいました。
「最近、仕事をしていて椅子から立ち上がる時に右ひざの前側が痛む」という訴えでした。
ひざの痛みになると一番に考えられるのが「変形性ひざ関節症」です。
レントゲン検査をするとこれといった異常所見が見当たりません。関節を触っても腫れてもいない。ひざの曲げ伸ばしをしても痛みは出てこない。

もう少しお話を詳しく聞いていくと「座っている時間が短いと痛くない」「痛みはあっても、歩き始めれば痛くない」ということでした。つまり「同じ姿勢を続けて筋肉が硬くなっているところから急に動こうとすることで痛みを出している」「動きが続くと筋肉の活動が取り戻されて痛みが消えていく」可能性が高いと思いました。

 

薬も大切だけど、動きを見直していくことも大切

このような痛みの時には薬物治療も致しますが、湿布薬だけではなかなかよくならないのも現状かなと思っています。理学療法士の方が動きの見方や体の使い方は得意だと思っていますので、実際に硬くなっている筋肉、座っている時の姿勢、立ち上がり方などを理学療法士に指導してもらって、定期的なフォローをしていきます。

今回の方も診察後に理学療法士によるリハビリを処方。
診察よりも時間をかけてお話と体の状態をチェックしてもらいます。
デスクワーカーとのこともあり、元来より身体の柔軟性が低く、太ももの前側、後ろ側の筋肉の硬さがあり、座り方も浅く腰をかけて猫背の状態で背もたれに寄りかかっていたとのこと。
そのような座り方だと立ち上がる時に重心が前に乗らないため膝への負担が増えてしまいます。
そのため、座り方や立ち上がり方の工夫、そしてデスク環境もチェック。太ももへのストレッチとマッサージの指導も行いました。

この方はまだ現役のため、週1回の通院でフォローを実施。次回来院後には痛みの出る頻度が減った、強さも軽減されてきたとおっしゃっていただけました。
2回3回と続けていると痛みも気にならなくなってきたとのことでした。
やはり体の使い方は大切だなと実感しました。

 

変形は突然起こらない

このように早めにきて身体の使い方や硬くなっている部分を見つけることが早めにできると骨の変形の進行を遅くさせることは可能だと感じています。

反対に痛みを我慢し続けて関節に変形が発生すれば、関節の動きに制限が出てしまったりするので、ある程度の限界を決めながらのリハビリになってしまいます。

多少の身体の不調もなかなか治らない場合はお近くのクリニックの受診をおすすめしています。

 

実際に日常生活のものでできるケア方法を紹介しています。ご参考までに