2023年5月24日(水)

物を持ち上げた時から腰が痛い

先日、診療をしていると「物を持ち上げた時から腰が痛い」とおっしゃる40歳代の男性の患者様がいらっしゃいました。よく診療をしていても患者様から「ぎっくり腰ですかね?」とお話をお聞きします。今回の患者様も同様に「ぎっくり腰」のご心配をされていました。

身体所見と画像所見を照らし合わせながら診察をすすめていきます。
今回の患者様は座っていると腰が痛く、立っていると比較的楽というお話でした。前屈は全くできない状態、詳しい身体検査でも腰椎椎間板ヘルニアを疑うような所見が多数ありました。当院では外科的な対応はしていないので患者様の希望を聞きながら、今回は保存療法で経過を見る運びになったので、薬と理学療法を処方しました。

今回はぎっくり腰について解説していきますね!

そもそも「ぎっくり腰」ってなに?

よく皆様が心配される「ぎっくり腰」ですが、これは診断名や病名ではなく、急に起こった強い腰痛を指す、一般的な通称です。

原因は様々で、私たちは、どの部分が大きな損傷を受けているのかを判断して治療をしていきます。
人によっては腰の関節部分で許容以上の負担をかけて炎症を起こしているかもしれません。または椎間板に負担をかけてしまい痛めているかもしれない。腰を支える筋肉が痛んでいる可能性もあります。

なので「ぎっくり腰」と言っても様々な原因がありますので、対応が変わってくるのです。

 

今回の経過

今回の患者様は、座って痛い、前屈みができないなどヘルニアを代表するような症状が出ていました。MRIで撮影しても椎間板ヘルニアが確認できました。

そこでリハビリではなぜ、その部分がヘルニアを起こしてしまったのかを身体の柔軟性のチェック、姿勢のチェック、筋力チェックをしていき、根本的な原因を見つけていきます。最初の時期は痛みが大変強いため、「楽になる姿勢」を一緒に見つけていき、局所の安静が取れるように指導していきます。
最初の痛みは、炎症が基盤となる痛みなので薬とリハビリで楽な姿勢の指導が行えると、症状は落ち着いていきます。今回の方は2週間後には職場で軽作業ができるようになり、4週間後には違和感は感じるものの、お薬を使いながら現場に復帰されていきました。

今回の方は椎間板ヘルニアによる足の筋力低下などがないため、保存療法で経過が良い方でした。
患者様の背景や症状では専門機関への紹介が必要になる場合もあります。

 

 

重大な疾患が隠れている可能性もある。

「これをしたから痛くなった」や「前日すごい動いたのよ」など明確な場面を語れる場合は整形外科的な疾患を疑いますが、「何もしていないのに痛くなった」などはばい菌による背骨の化膿など重大な問題が隠されてたり、内科的な問題が隠されているかもしれませんので、お近くの整形外科を受診して、ちゃんと診断を受けましょう。

 

最後に腰痛に対して解説しているインスタグラムがありますのでご参考に!

腰痛の教科書のインスタグラム